赤ちゃんのスキンケア
生まれて間もない赤ちゃんのお肌は、大人の肌以上に敏感です。湿疹、口の周りが赤くなる、おしりが荒れる、肌が乾燥する、などデリケートな肌の悩みはつきません。こちらのページでは、赤ちゃんの肌のしくみ、スキンケアの正しい方法などについてまとめています。
赤ちゃんの肌はどうしてこんなにデリケートなの?
胎児の頃から皮膚を守る「胎脂」の役割
生まれたばかりの赤ちゃんは、胎脂(たいし)というクリームチーズのような膜に覆われています。胎脂は、妊娠6カ月頃から胎内で赤ちゃんの体を覆いはじめます。抱水性と保水性に優れており、羊水の中にいても潤いを与えて皮膚を保護。分娩時には潤滑油として、生まれた時には外の空気から肌の乾燥を守る役割も担っているのです。
生まれたての赤ちゃんの肌を守っている胎脂ですが、出産後24時間を過ぎる頃から剥がれ、消えていきます。そうなると、保護されていた肌は外気に直接あたり、乾燥しはじめます。
日本では生まれたばかりの赤ちゃんをすぐに産湯に入れる習慣があります。しかし最近では、赤ちゃんの皮膚を守ってくれる胎脂を残すために、血液や羊水だけをふき取る「ドライテクニック」を取り入れているクリニックも増えているようです。
大人よりずっと薄い皮膚
もともと赤ちゃんの肌は、大人の肌の厚さと比べて半分ほどです。とくに表皮は3分の1ほどの薄さしかないと言われています。そのために、外部の刺激から守るバリア機能や皮膚内の水分を保つ保水力などが未熟で、どうしても肌が荒れやすくなってしまいます。
赤ちゃんのデリケートな肌を守るために、水分やオイル分を適切に補ったり、肌を清潔に保つスキンケアをしてあげたりしましょう。
スキンケアのポイントは洗浄・保湿・防御の3つ
スキンケアというと「保湿」という言葉が頭に浮かびますが、保湿前に肌の刺激となる汚れを落とすことも大切です。まずは赤ちゃんの体を清潔にしたうえで、潤いを与え(保湿)、お散歩などに行く場合は紫外線からのダメージから肌を守るために刺激の少ないUVカットクリームで防御します。
洗浄の基本「バスタイム」のスキンケア
赤ちゃんへの洗浄料は肌と同じ弱酸性のものを選び、直接肌にこすりつけたりしないようによく泡立てます。よく泡立てた泡は刺激が少なく、汗や汚れを包み込み効率よく洗浄してくれます。お湯の温度は38度が適温です(冬場は39~40度)。
頭の洗い方のコツ
皮脂腺が体の中でも大部分を占めているといわれているのが「頭部」です。頭部の皮脂腺数は体の10倍ともいわれ、汗や皮脂汚れが溜まりやすい場所です。そのため、皮脂を落としやすいベビー用ヘアシャンプーを使ってください。
- シャンプーはよく泡立てて、爪を立てずに指のはらで優しく洗います。
- すすぎはシャワーを使い、洗浄成分をしっかりと洗い流してください(羊水の中にいた赤ちゃんは、顔にかかっても意外に平気です)。
体の洗い方のコツ
体は赤ちゃん用のボディソープや石鹸を泡立てて洗います。洗い上がりのタオルや保湿アイテムなども、事前に用意しておいてください。体を洗う時のポイントは次の通りです。
- わきの下やおしり、股、首、耳の後ろ、そして関節部分は汚れが溜まりやすいので、洗い残しのないように気を付けてください。
- 洗う時はママの手で優しく洗ってあげましょう。ガーゼは研磨力が高いので、布を使う場合は清潔なタオルがおすすめです。
- 洗浄成分はしっかりシャワーで洗い流します。その後は、用意していた柔らかいタオルにくるんでそっと押さえるように水分を取ります。こすらないように気を付けましょう。
お風呂上がりのスキンケア
タオルでしっかり水分を取ったら、乾燥しないようにすぐに保湿剤を塗ってあげます。保湿剤は皮膚に水分を与え、皮膚の内側から水分が逃げないようにカバーしてくれます。
保湿剤の選び方
保湿剤にはクリームや乳液、ローション、ワセリン、ベビーオイルなど、さまざまなタイプがあります。赤ちゃん用の商品を選び、本格的に使う前には必ずパッチテストを実施して、赤ちゃんのお肌に合うかチェックしてください。
また冬は乳液やクリーム系、夏場はローションにするなど、季節に合わせて保湿剤を使い分けてもよいでしょう。またワセリンなど固めのものは、ママの手のひらで温めてから使うとのばしやすく、赤ちゃんの肌への負担が軽減します。
保湿剤の塗り方のコツ
清潔な手のひらで、お顔やおなか、背中、手足など、塗り忘れがないように塗っていきます。
- 塗りたい箇所に保湿剤を点々と置いてから、それを手のひらで滑らすように広げていきます。
- 塗る量は、お肌がしっとりする(ティッシュペーパーがペタッとくっつく)くらいが目安です。
風呂上がり以外に保湿をするタイミングは?
お風呂上がり以外に保湿したほうがいいタイミングは次の通りです。
- おむつ替えのとき(おしりや脚)
- お着替えのとき(ボディ全体)
- 授乳やミルク後、離乳食後(主にお顔)
- 汗やよだれを拭いた後、など
これらのタイミング以外でも、赤ちゃんのお肌の状況や生活スタイル、季節に応じて1日に数回の保湿を行ってください。
紫外線から肌を守るためのスキンケア
生後2カ月を過ぎた頃からお散歩をスタートするママは多いと思います。季節や出かける時間帯にもよりますが、10~15分程度のお散歩であればUVクリームは必要ないでしょう。
しかし、生後3カ月頃から本格的にお散歩をする場合は、日焼け止めのクリームをお顔に塗って紫外線のダメージから赤ちゃんを守ってください。
日焼け止めクリームの選び方
日焼け止めには紫外線吸収剤を含む「ケミカルタイプ」と、使っていない「ノンケミカルタイプ」があります。ノンケミカルは、紫外線を防ぐ効果はケミカルタイプより弱いものの肌には低刺激です。ぜひ「ノンケミカル」を選んでください。
ほかにも次のような事柄をチェックしましょう。
- アルコールフリー、無香料、無着色など、原料をチェックして肌への負担が低い商品を選ぶ
- ベビー用の商品を選ぶ(使用可能の月年齢を確認)
- 水やぬるま湯で落としやすい物を選ぶ(口コミなどをチェックしてもOK)
- 使用感より安全性の高いアイテムを選ぶ
UVクリーム以外の紫外線対策は?
日焼け止めクリームを塗付するだけでなく、下記のような対策を併用して赤ちゃんのお肌を紫外線ダメージから守ってください。
- 紫外線が強い時間帯(春から秋にかけての午前10時~午後2時頃)の長時間外出は避ける
- ベビーカーの幌を有効に使って赤ちゃんを紫外線から守る
- 帽子や衣類で肌が露出をしないように工夫する
このような方法で、紫外線によるダメージを防いでください。外出から帰ったら、ぬるま湯で日焼け止めクリームの成分を洗い流し、保湿剤を塗り直してくださいね。
その他に注意したいポイント3つ
赤ちゃんのスキンケアの基本「洗浄・保湿・防御」以外にも、注意したい点がいくつかあります。
赤ちゃんの爪と髪の毛は適度な長さに切ろう
赤ちゃんのスキンケア対策で気を付けたいのが、赤ちゃん自身の「爪」と「髪の毛」です。爪が伸びていると、痒い部分を掻き壊して傷をつけてしまいます。爪は指の肉と同じ程度の長さにして、角をとって丸くなるように切りましょう。ミトンを着用するのも1つの方法です。
髪の毛が長めの赤ちゃんの場合、毛先が頬などに触れて刺激になることがあります。赤ちゃんの様子を見て気になるようであれば、顔に触れないような長さに切ってあげましょう。
寝具や衣類の素材やデザインも大切なポイント
赤ちゃんの洋服選びは「素材」と「デザイン」が大切です。どんなに可愛らしい服でも、首物のフリルは赤ちゃんにとって邪魔なだけですし、吸収性や通気性が低い洋服は汗疹や湿疹の原因になります。
肌に優しい綿100%のものを選び、タグや縫い代などの場所にも注意を払ってください。
また、肌に触れる時間の長い寝具のカバー類も綿100%を選び、常に清潔なものを使うよう気を付けてください。
かぶれがひどい時、治りにくい場合は医師に相談を
一時的な赤みや湿疹は、ほとんどの場合ホームケアで対処できます。
しかし、中には対処法を実践してもなかなか治らなかったり、状態が悪化したりするケースも。そんな場合は、かかりつけ医や皮膚科の診療を受けましょう。診断や検査によって適切な薬を処方してもらえるほか、適切な指示を受けることができます。
スキンケアのためのQ&A
生後まもない新生児から1歳未満の赤ちゃんのママから寄せられたよくある肌に関する質問や疑問、それに対する対処法をまとめました。似た症状のある方は参考にしてください。
Q.肌や頭部からポロポロ皮膚が剥がれています
生後3週間の赤ちゃんの肌からポロポロ白い皮膚が剥けています。頭部もフケみたいのが溜まっていますが、皮膚の病気か何かでしょうか?
A.新陳代謝が活発な証拠
生まれた時に、赤ちゃんを覆っていた胎脂の残りが剥けているのでしょう。この脱皮したような状態を「新生児落屑(らくせつ)」といいます。
また、生後1~2ヶ月の赤ちゃんは皮脂分泌や新陳代謝が活発です。成長している証拠ですから、心配することはありません。剥けかけている皮膚は無理に剥がさないように気を付けてください。無理に剥がすと炎症を起こす恐れがあるので、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。
参照元:子ども医学館(https://www.babycome.ne.jp/kidsmedica/id/20021000/)
Q.お尻がすぐに赤くなります
うちの娘はおむつかぶれになりやすく、お尻がすぐに赤くなります。授乳後など頻繁におむつを替えていますが、何か良い方法はありますか?
A.ぬるま湯できれいにしてから保湿を
こちらのママは、おむつ替えは適度にされているようですね。それでもお尻が赤くかぶれている場合は、ぬるま湯をひたしたタオルで優しくお尻を拭くケアを加えてみましょう。残った水気はガーゼやティッシュで拭き取り、保湿剤でスキンケアしてください。
うんちがこびりついている場合などは、ぬるま湯(38~40℃くらい)をはった洗面器で洗い流しましょう。強くこすらないように気を付けてください。
参照元:花王公式HP(https://www.kao.co.jp/merries/babycare/qa/10/07/)
参照元:花王公式HP(https://www.kao.co.jp/merries/babycare/omutsu/01/)
Q.口の周りが荒れています
生後4カ月の赤ちゃんがいます。最近口周りが荒れて、かぶれを起こしています。拭きすぎると赤くなってしまうため、どうのように対処すればいいのか困っています。
A.濡れたコットンで優しく拭き取りましょう
お口の周りの肌荒れ・かぶれは、よだれや食べ残しが原因で起こることがほとんどです。とくによだれには消化酵素が含まれているため、タンパク質を分解する消化酵素が赤ちゃんの肌にダメージを与えるのです。
よだれ・食べ残し対策は、こまめに拭いたり洗い流したりするのが一番の予防法。よだれかけで拭くのではなく、濡らしたコットンで拭くのがベストです。使い捨てなので、衛生的に使用できます。もちろんタオルを濡らしたものでもOKですが、何回も使いまわさず清潔なものを使ってください。
コットンは、肌へ滑らすように優しく拭き、残った水気は清潔なガーゼで包み込むように吸わせます。その後は、肌の保湿と保護のためのベビー用保湿剤を塗ってあげましょう。
参照元:NHKすくコム公式HP(https://www.sukusuku.com/contents/126449)
参照元:PRISTINE(https://www.pristine-official.jp/journal/how_to/detail/11)