ベビー用品と熱中症予防
気温が高くなってくると、気になるのが熱中症。体温が上がれば誰もがかかる可能性があるうえ、時には命を脅かすこともある病気です。
特に、体温調節機能が未熟な幼い子どもは、大人よりも熱中症になりやすいもの。そこで今回は、赤ちゃんを熱中症から守るための対策方法や、万が一の際の対処法について解説します。
基本的な熱中症の予防法
はじめに、抑えておきたい基本の熱中症対策について学びましょう。
- 水分補給
- 通気性のよい服や帽子の着用
- こまめな休憩
- 子どもから目を離さない
- 暑さを避ける
水分補給は、熱中症予防の基本です。喉が渇いてぐずりだす前に、こまめに水分を摂らせてあげましょう。飲むものは麦茶や白湯のほか、ミルクや母乳でも問題ありません。大量に汗をかいてしまった時は、乳児用のイオン飲料を飲ませるのも効果的です。
また、直射日光から頭を守る帽子や、こもった熱を逃がしてくれる通気性のよい素材の服など、季節に合った服を着せてあげることも大切です。特に、屋外に出る場合は、太陽光を吸収しにくい淡い色合いの服を選ぶとよいでしょう。涼しい場所でこまめに休憩をとることや、赤ちゃんの様子をよく観察することも忘れずに。
そして、暑さそのものを避けることも熱中症対策には欠かせません。特に、気温が31度を超す日には熱中症のリスクが高まるため要注意。不要な外出を避けることはもちろん、屋内でも温度管理に気を配りましょう。
そもそも「熱中症」とは?
「熱中症」とは、体温調節がうまくできなかったり、体内の水分や塩分が過剰に失われたりすることによって起こる症状の総称です。
熱中症には「真夏の屋外でかかる病気」というイメージがありますが、夏以外の季節にかかることや、屋内でかかることも珍しくありません。さほど気温が高くない日でも、湿度が高い時や風がない時、直前に比べて急激に気温が上昇した時などにはリスクが高まるため、特に注意が必要です。
また、睡眠不足の日やお腹を壊している日、風邪をひいている日など、体調が悪い日にも熱中症の危険性は高まります。このような時には外出を避け、涼しい屋内で安静にして過ごしましょう。
べビー用品に取り入れたい熱中症対策
次に、赤ちゃんにとって身近なベビー用品に取り入れたい熱中症予防策について紹介します。
ベビーカーの熱中症対策
- シートが高い位置にあるベビーカーを使う
- 風通しを確保する
- 保冷剤を使う
背の高い大人に比べ、地表から近い位置にいる子どもや赤ちゃんは暑さに晒されやすいもの。気温の高い日にベビーカーで外出する際には、必ず熱中症対策を取り入れましょう。
まず、地面からの照り返しの影響を少しでも抑えるためには、できるだけ背の高いベビーカーを選ぶのがポイントです。熱気がこもるのを防ぐため、メッシュなどの通気性のよい素材を使ったベビーカーを選ぶのも◎。特に暑さの厳しい日には、タオルにくるんだ保冷剤をシートに置いて温度を下げるのも効果的です。
なお、暑さ対策としてのミニ扇風機の使用はあまりおすすめできません。暑い屋外で扇風機の風を送るのは、温風を吹き付けるのとほぼ同じこと。結果として、体表の汗だけが乾いて熱が体にこもり、余計に熱中症のリスクを高めてしまう恐れがあるのです。
また、日差しを遮ろうとカバーやタオルなどでベビーカーを覆うと熱気がこもってしまうため、こちらも避けた方が無難。どうしても日よけを使う必要がある場合は、完全に覆わず通気性を保つことと、こまめに赤ちゃんの様子を確認することを心がけましょう。
ベビーベッド・ベビー布団の熱中症対策
- 夏用の寝具を使う
- 室温を調節する
赤ちゃんは、大人に比べて暑がりで汗っかき。寝ている間の暑さで熱中症を起こさないためには、夏向けの薄手の寝具を使うとともに、エアコンで室温を適度に下げることが大切です。
具体的な室温の目安は、26~28℃程度。冷えた空気が部屋の中をうまく循環するよう、扇風機を併用するのも効果的です。ただし、エアコンや扇風機の風が直接赤ちゃんに当たらないよう、ベビーベッドを置く位置には注意しましょう。
抱っこ紐の熱中症対策
- 吸湿性にすぐれた服を選ぶ
- 保冷剤を活用する
- 赤ちゃんの様子をこまめに確認する
保護者と赤ちゃんの体が密着するため、熱がこもりやすい抱っこ紐。屋外はもちろん、室内でも油断せず、赤ちゃんの様子をよく観察することが大切です。
また、親子双方が汗をよく吸ってくれる綿などの服を着たり、抱っこ紐のポケットに保冷剤を入れたりするのも効果的。赤ちゃんと密着する胸元の部分にタオルでくるんだ保冷剤を挟めば、保護者の熱中症対策にも役立ちます。
こんな症状に要注意
次に、赤ちゃんや小さな子どもが熱中症にかかった際によく見られる症状を紹介します。以下のような症状がある場合は、すみやかに応急処置を行いましょう。なお、けいれんなどの危険な症状が出ている場合は、すぐに救急車を呼んでください。
- 思い当たる原因がないのに機嫌が悪い、ぐずっている
- 顔が赤い
- 肌が乾燥している
- 排泄の異常(尿の色が濃い、尿や便の量や回数が少ない)
- 体が熱い、ほてっている
- 息が荒い
- 元気がない、呼びかけに対する反応がいつもより鈍い
- 嘔吐している
救急車を呼ぶべき症状の目安
- 意識がない、または呼びかけにほとんど反応しない
- けいれんしている
- 40度前後の熱がある
- 汗が出ていない
- 嘔吐を繰り返し、水分を摂れない
上記のような症状がみられる時は、危険な状態に陥っている可能性があります。直ちに体を冷やしつつ、ためらわずに救急車を呼びましょう。救急車が到着するのを待つ間も、体を冷やしつづけることが大切です。
熱中症の応急処置
熱中症が疑われる場合には、まずクーラーのきいた屋内などの涼しい場所に移動します。同時に、濡れタオルをかけたり、霧吹きで水を吹きかけたりしてから風を送り、気化熱を奪うことで体を冷やします。首筋やわきの下、足の付け根など、大きな血管が通っている部分に保冷剤や冷たいペットボトルなどを挟んでもよいでしょう。
意識がしっかりしていれば、水分の補給も併せて行います。経口補水液などの塩分が入ったものが理想的ですが、難しい場合はミルクや母乳でも構いません。
上記のような処置を行っても症状が改善しない時は、すぐに病院を受診しましょう。水分を摂ることができない場合も同様に、できるだけ早く医師の診察を受けることが大切です。
このページで参考にした情報
AERA dot.「逆に命の危険も!? 熱中症対策のミニ扇風機に注意」
https://dot.asahi.com/wa/2019082800075.html?page=2
マイナビウーマン子育て「【医師取材】赤ちゃんの室温の目安は? 季節別の温度調整ガイド」
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1616
環境省熱中症予防情報サイト「暑さ指数(WBGT)とは?」
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php
国立研究開発法人国立成長医療研究センター「熱中症(熱射病)」
http://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html
千葉県医師会 県民向け広報誌ミレニアム「こども相談室 乳児の熱中症について」【PDF】
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium61_13.pdf