悩みが尽きない赤ちゃんの髪の毛事情
生まれたばかりは気にならなくても、生後2カ月くらいを過ぎると「うちの子は髪の毛が生えてこない」や「髪がよく抜ける」など、赤ちゃんの髪の毛が気になるママは多いようです。そこで今回は、赤ちゃんの髪の毛に関する悩みについて、くわしく解説していきます。ヘアカットや赤ちゃん筆についてもご紹介します。
Q.髪の毛が多い子と少ない子がいるけど(うちの子は)大丈夫?
A.個人差が大きいのであまり心配しないで
生まれたばかり新生児の赤ちゃん。髪の毛が黒々と生えている子もいれば、産毛程度でほとんど生えていない状態の子もいます。
1カ月検診や3カ月検診のときなどに、同じくらいの月年齢の赤ちゃんと会う機会の多いママは、ついつい周りの赤ちゃんと比べてしまいがちです。でも、この時期の赤ちゃんの髪の量や髪の伸びる早さは、個人差が大きいので気にする必要はありません。
そもそも、髪の量の「薄い」「濃い」を気にしてしまうのは、きっと将来のことを気にかけての心配だと思います。しかし、赤ちゃんの髪の毛はどんどん生え変わります。産毛が直毛で濃い色をしていたからといって、将来剛毛になるわけではありませんし、薄いからといって薄毛になるわけでもありません。
乳幼児の髪の量、色、伸びるスピードの正常範囲は非常に広いのが特徴です。赤ちゃんの薄毛、剛毛というのは、1人ひとり異なる「個人差の範囲」になります。
「栄養不足」を気にするママもいるようですが、髪の毛以外の成長にとくに問題ないようであれば、心配することはないでしょう。「薄毛だな」と感じていても、赤ちゃんの髪の毛は細くて柔らかいので、実際の量より少なく見える場合もありますよ。
Q.ちゃんとした髪はいつから生えてくるものなの?
A.しっかりとした髪の毛がそろうのは4歳前後
赤ちゃんの髪の毛は、ママのお腹の中にいる時期から作られはじめます。その時期は妊娠4カ月前後と意外に早い時期からはじまると言われています。
赤ちゃんの産毛は、生まれた時には既に生えていたり、生後少し経ってから生え始めたりしますが、産毛がそのまま伸びることはありません。胎生期~新生児期に作られた毛は、すぐに退行期と休止期に移行してしまい抜けてしまうのです。これが新生児脱毛。
このあとに生えてくる髪の毛は、産毛よりも太くて長く伸びます。産毛は徐々に生え変わり、完全に生えそろうのは3歳~4歳くらいといわれています。
Q.抜け毛がひどいのは病気なの?
A.産毛が抜ける時期があります
「赤ちゃんの髪の毛がシーツにたくさん付いている」「後頭部だけ薄い」などの心配をするママもいますが、新生児期から半年くらいまでは産毛が抜ける時期です。それほど悩むことはありません。
赤ちゃん時期の抜け毛には、主に下記の3つのタイプに分かれます。
新生児生理的脱毛
赤ちゃんの産毛は、そのまま伸びることなく生え変わります。髪の毛が抜け落ちる時期は、生後6カ月くらいまでに起こります。毛髪が一斉に休止期に入るために、多くの時間を寝て過ごす赤ちゃんの寝具に、髪の毛が付きやすくなるのです。生理的現象なので心配する必要はありません。
乳児期後頭部脱毛
赤ちゃんの抜け毛でもう一つよく見られるのが、後頭部の脱毛です。
仰向けに寝ることの多い生後数カ月の赤ちゃんは、後頭部と寝具がこすれて摩擦を起こしやすい状態です。寝返りができないとはいえ、頭を左右に動かしたり、手足をバタバタさせるので、どうしても後頭部がこすれやすく、刺激によって抜けやすくなるのです。
このタイプの脱毛も、首や腰が座って動き回ることが多くなれば、自然と目立たなくなるので心配しないでください。
ただし、もし化学繊維の寝具を使っているママがいたら、見直した方がいいかもしれません。化学繊維は静電気がたまりやすいという特徴があります。赤ちゃんの髪の毛は細くて乾燥しているので、髪の毛同士で摩擦が起きやすく、静電気を帯びてしまいがち。静電気を帯びが髪は絡まりやすく、抜け毛しやすい状態につながります。
コットンは水分を含みやすく、静電気が逃げやすい素材になります。赤ちゃんの寝具は、コットン100%の素材がおすすめです。
乳児脂漏(しろう)性湿疹による脱毛
脂漏性湿疹とは、皮脂の分泌が過剰になり起こる湿疹のことです。乳児性のものは、生後4カ月頃までの赤ちゃんに多く、おでこや頭皮、眉毛など、皮脂腺の多い生え際に多くできます。クリーム色のかさぶたやフケと一緒に、髪の毛が抜けてしまうことがあるのです。
生後2~3カ月頃のホルモンの影響で、皮脂が過剰に分泌されやすいと言われているため、このタイプも自然に解消されます。
脂漏性湿疹は痒みをともなわないので、無理やり剥がす必要はありません。入浴の際に、石鹸をよく泡立てて、泡で頭皮を優しく洗ってぬるま湯でしっかり洗い流してあげましょう。
Q.抜け毛じゃないけど、自分でむしるのは大丈夫?
A.様子を見てあげてください。
上記の3つの抜け毛以外にも、自分でむしってしまい薄毛になってしまうケースもあります。
触れ心地を楽しんでいる
赤ちゃん自身が自分でむしってしまう場合は、生後2~3カ月の赤ちゃんに多く報告されます。自分の手で触れられる範囲にある髪の毛は、赤ちゃんにとって興味深いものようです。
むしるつもりはなくても、触れ心地を楽しんで引っ張っているうちに抜けてしまうことも。見ているママやパパは心配になりますが、このタイプの場合、一定期間が過ぎると興味が別なものに移り、いつの間にか終了しているものです。
どうしても気になるようであれば、手袋をつけさせるという方法があります。
かゆみが原因
頭にできた汗疹や湿疹などのかゆみが原因で、かきむしるケースの場合は注意が必要です。頭皮の様子を確認して、湿疹等が見つかったら速やかに病院へ行って、医師の正しい診察を受けましょう。
赤ちゃんの髪の毛はどこでカットする?
赤ちゃんの髪の毛が、目や耳にかかってきたら、ヘアカットを考える時期です。その場合は自宅 or 美容院?どちらの方がいいのでしょうか?メリット、デメリットを挙げてご紹介します。
自宅でカット
自宅でカットする場合のメリットは、予約、待ち時間がなく、赤ちゃんの機嫌の良い時を狙ってカットできることです。お金を節約できることも挙げられます。
反対にデメリットは、ヘアカット素人のママの場合、満足いく仕上がりにならないこと、安全のカットするために、ある程度の道具をそろえる必要があることです。
今後も定期的に散髪する予定であれば、安全性の高い赤ちゃん用のヘアカットグッズをそろえましょう。前髪からサイドの順で散髪していきますが、赤ちゃんに落ち着きがない場合は、数日間に分けて整えてもOKです。
ヘアカットにネガティブなイメージを植え付けないことも大切ですよ。
美容院でカット
美容院でのヘアカットのメリットは、自宅カットより満足いく仕上がりになることでしょう。とくにクセっ毛気味の赤ちゃんの場合は、美容師のテクニックのほうが格段上です。赤ちゃんカットに慣れている美容師を選べば、スピーディーに散髪してくれます。
デメリットは、毎回費用がかかること、ヘアカットするときに赤ちゃんの機嫌が良いとは限らないことです。
赤ちゃんの散髪を美容院でお願いする時は、自宅から近い美容院で、赤ちゃんカットに慣れている美容師さんを選びましょう。まずはママの行きつけの美容院に相談してみるのが良いかもしれません。
赤ちゃんの髪の毛でつくる「赤ちゃん筆」
最後に「赤ちゃん筆」についてご紹介します。
生まれてから一度もカットしたことのない、赤ちゃんの毛髪だけを筆に加工したものを「赤ちゃん筆」「胎毛筆」と呼びます。頭脳明晰、長寿などの願いが叶うお守りとして、昔から大切に扱われてきました。
繊細な毛先が残っているやわらかい髪の毛で筆が作れるのは、一生に一度だけ。お店によって、軸や前骨の材質が異なるほか、名前や家紋、希望の言葉などを入れるサービスが違うので、筆を作りたい人は近所の書家用品・筆を扱うお店や、ネットで調べてみましょう。