赤ちゃんと接していてイライラしてしまう
「赤ちゃんが泣き止んでくれない」「夫が子育てを理解してくれない」など、産後の子育てにイライラが募るママはかなりの数にのぼります。そのイライラの原因は疲労だけでなく、ホルモンの急激な変化なども影響していると考えられます。
こちらのページでは、イライラする原因やQ&Aによる対処法、先輩ママのアドバイスなどをまとめています。ぜひ参考にしてください。
出産後のイライラ…その原因は?
ホルモンバランスの激変
待望の赤ちゃんが生まれ、このうえなく幸せなママとパパ。赤ちゃんの顔を見ているだけで幸福感に包まれますが、病院から帰って実際の子育てが始まると、生活リズムの異なる赤ちゃんとの日常生活に、寝不足や疲労が重なりイライラが募ることも出てきます。
そのイライラは、決して赤ちゃんだけが原因ではありません。
女性の体は出産前後でホルモンバランスが激変します。そのために、脳が不安定な状態になり、イライラや攻撃性が高まることがあるといわれています。
妊娠の維持には「エストロゲン」というホルモンの分泌が必要不可欠です。ところが出産後はこのエストロゲンの分泌はいきなり低下して、不安や孤独を感じやすくなり、自律神経の乱れを引き起こします。
さらに、産後は母乳の分泌を促すためのホルモン「オキシトシン」が多くなります。オキシトシンは赤ちゃんへの愛情を感じたり、幸福感を感じたりする一方で、イライラや攻撃性が高まることが近年になって分かってきました。
このように女性の体に大きな影響を与えるホルモンの乱高下によって、ママの体や精神状態は不安定になるのです。これらの症状はマタニティ・ブルーとも呼ばれます。
ほかにも、漠然として不安や恐怖感を覚える産後うつ病も、ホルモンバランスが関与していると考えられています。産後うつ病は、10人に1人の割合でかかるとされているため、周りの人間が注意をする必要があります。
参照元:NHKスペシャル公式HP(https://www.nhk.or.jp/special/mama/qa.html)
参照元:NHKハートネット公式HP(https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/307/)
赤ちゃんに合わせる生活リズムの疲労
生まれたばかりの赤ちゃんは、昼と夜の生活リズムに慣れるまで2~3カ月の期間が必要です。それまでの期間、ママとパパの生活はどうしても乱れてしまい、睡眠不足による疲労が蓄積されます。
とくに授乳しているママは、昼夜関係なく1~3時間ごとに母乳を与えるので大変!出産後の産褥期は身体のダメージが大きく、本来であれば休息が必要な時期なのに、日本の家庭は母親が子育てと家事全般を担っているケースがほとんどです。
パパも寝不足なまま会社へ行って仕事をして帰宅。ママの疲労も重なり、家族間がギクシャクしてイライラが募ってしまうようです。
甲状腺機能低下症の可能性
甲状腺機能低下症とは、甲状腺の機能に異常が生じる症状です。産後1~3カ月の頃に約20人に1人割合で発症します。甲状腺機能が低下してホルモン分泌が減少することで起こり、抑うつ・倦怠感・無気力感・不眠・むくみといった症状が起こります。
多くは一時的なものですが、育児疲労と似ているために見逃されて悪化してしまうことも。その場合、長期にわたる治療が必要になることもあります。
参照元:宮下クリニック 出産後の甲状腺機能異常(http://www.miyashita.or.jp/catch-01-03-25.htm)
産後ママに見られる心の乱れはこんな症状
イライラ
ホルモンバランスの乱れや睡眠不足などによる疲労などが重なり、気持ちにゆとりが持てず、ちょっとしたことでイライラ・攻撃的になることが増えてしまいます。
とくに赤ちゃんが泣き止まないといった理由や夫の言葉や行動にイラッとしてケンカが絶えなくなる、などです。
疲労感
育児には休日・休暇はありません。昼夜関係なく赤ちゃんのケアを続けなくてはいけません。その期間が長くなるほど慢性的な疲労感、眠気、食欲不振など、日常生活に支障をきたすことも。
不安感
里帰り出産だったりママの実家が近くだったり、実家が協力してくれる環境であれば心置きなく実母に甘えて子育てができますが、そのような環境でない場合は、1人で赤ちゃんと向き合うワンオペ育児となります。
新生児から乳児の場合、外出することもままならず、夫の帰宅が遅い家庭ではママが孤独な環境に追い込まれやすくなります。
また、仕事に復帰したいと考えているママは「自分が会社や社会から取り残されているのでは…」と不安を抱く方も多いようです。
抑うつ感
ホルモンバランスの急激な変化によって、原因のない「落ち込み・絶望感・悲しみ・自己嫌悪」などが引き起こることがあります。
ネガティブな心の変化を感じたら専門家へ相談を
新生児から乳幼児にかけての子育てに、睡眠不足や疲労を避けて通ることはできません。家族と話し合ったり、手抜き家事で休む時間をつくったりするなど、善処できる方向を模索する必要があります。
ただし、イライラや疲労感の中には病気が原因のこともあります。自分なりに気になる点や下記のような症状があれば、早い時期にかかりつけ医や地域の保健師、診療内科といった専門家に相談してみましょう。
- とくに理由もなく、不安や恐怖感を持ってしまう
- 生活の中で楽しみを見いだせない(笑顔が減ってきた)
- 育児が思い通りにならず自分を責めてしまう
- 何かに追い立てられるように感じる
- 眠れない日が続く
- 突然悲しくなったりイライラすることが増えてきた
- 自分を傷つけたいと思うことがある
Q&Aによる対処法
こちらでは、具体的な例を挙げながら対処法を解説していきます。
Q.泣き止まない赤ちゃんに暴言を吐いてしまいます
生後4カ月の赤ちゃんがいます。抱っこしてもおっぱいをあげても、火がついたように泣き止まないことが多くなり、「うるさい!」「静かにして!」など大声で叱りつけることが増えてきました。その後、とても後悔するのですが、同じ状況になると余裕がなくなり同様のことを繰り返してしまいます。こういった暴言は子どもに何か影響を与えてしまうのでしょうか?また何か対処法はありますか?
A.ママのイライラ・疲労が赤ちゃんに伝わっているのかも…
自分の暴言を後悔されていること、赤ちゃんへの影響を心配されていること、それだけでもお母さんとしての十分な愛情を感じます。
生後4カ月だと、朝昼の生活リズムが整いつつあっても、早い赤ちゃんだと歯が生え始める不快感や夜泣きが始まっている可能性も。あるいは、ママの不安な気持ちやストレスが赤ちゃんに伝わっているのかもしれません。赤ちゃんが小さいほどママとの絆は深いものです。
愛情のある語りかけが、赤ちゃんや子どもの子どもの成長ホルモンの分泌を促すことが最近になってわかってきました。そのため、暴言といった強い言葉は成長ホルモンに影響を与える可能性を念頭に置いておきましょう。
またママが「赤ちゃんに暴言を吐いてしまう」ことで自分自身に嫌悪感を抱いて傷つくことも心配です。対処法としては、家事のレベルを落としてでも睡眠時間を確保したり、ひとりで悩まず話せる相手(友達や家庭支援センター、育児相談のあるクリニックなど)を見つけたりして、心身の余裕を得てください。
ぜひ周りの支援を頼ってみてください。
参照元:ユー歯科診療所(http://u-dentalclinic.capoo.jp/pg116.html)
参照元:浜松市子育て情報サイトぴっぴ(https://www.hamamatsu-pippi.net/shiritai/blog/hint/docs/2015082600060/)
Q.妻が子どもに感情的に接して心配です
1歳5か月の子どもを持つ父親です。妻が子どもに対して感情的になることが多くて心配です。子どもが泣いても「うるさい!」としか言いません。どこかに子どもを預けたほうがよいのでしょうか?
A.奥さんをねぎらってあげてください
人はストレス状態にあっても、そこから抜け出せる道が見えている場合は、ストレスをコントロールして緩和できるものです。しかし育児と家事にかかりっきりで、周りに頼る親族などもいないママなどの場合、ストレスから抜け出すことができず、どんどん高まっていきます。
1歳を過ぎた赤ちゃんは歩き回ったり、興味あるものに触れたがったりと、後追いも始まり、ママが一息つきたくても目を離せず、ママの時間はどんどん削られていきます。
お子さんを託児所などに週に数回、数時間預けてママのフリータイムをつくってあげるというのも1つの手としてよいでしょう。
もう1つ大切なのは、パパがママの話を聞いて理解を示すことと、「いつもありがとう」と労うことです。夫婦間の会話と声かけだけで、ママのストレスはずっと楽になるはずです。
参照元:東京新聞 東京すくすく(https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/birth/23618/)
Q.子どもにあたっている自分が怖くなります
うちの子はとてもよく泣きます。力も強く、反り返ることも多く、抱いてあやしても危なっかしいことが何度かありました。そうなるとついカッとなり怒鳴ったり、軽く手や顔をつねったりしてしまいます。
このままエスカレートしたらどうしようとか、泣いている子どもが非難しているように見えるとか、自分で怖くなります。どうしたら穏やかに接することができるのでしょうか。
いったん離れてみる
おむつやミルク(おっぱい)などの問題がなく、赤ちゃんが泣き止まなくてイライラしてきたら、怒鳴ったり手をあげそうになる前にいったん泣いている赤ちゃんから離れてみましょう。深呼吸をしたり、お茶などで気持ちを落ち着けて、冷静になってから向かい合ってみてはいかがでしょうか。
お散歩するという方法も意外に効き目があります。環境が変わることで赤ちゃんが泣き止むきっかけになります。外の空気を吸って歩くことはママの気晴らしにもなりますよ。
イライラや愚痴、苦しい気持ちを外に吐き出すこともいいでしょう。パパや友達、保健師さん、手軽なSNSなどを利用してもOKです。育児中のママのサイトなどであれば、先輩ママが相談にのってくれるかもしれません。
参照元:NHKすくすく子育て情報(https://www.nhk.or.jp/sukusuku/p2016/670.html)
実際にイライラ体験をしてきた先輩ママからのアドバイスは?
子どもを育てていくには幸福感だけでなく、泣きたくなるほどの不安な気持ちやイライラ感などさまざまな感情が入り混じる中で過ごします。程度の問題はあっても、「イライラ感」は子育てにつきものと考えてみてください。
実際にネガティブな感情の波を乗り越えてきた先輩ママたちの声を聞いてみましょう。
- 「保育士さんに相談して、いったん赤ちゃんと距離を置き、自分を見つめ直す時間を持つようにしました」
- 「レンタルの自動スイングラックを利用しました。抱っこしないと愚図っていたのに、このラックにのせるとご機嫌に!胎内音や音楽も気に入っているみたいです」
- 「赤ちゃんと家で2人きりになると圧迫感があるので、とにかく外出しました。娘もベビーカーに乗ると癇癪を起さずスヤスヤと眠ってくれました」
- 「一カ月検診で出会ったママたちと友達になって、愚痴を言い合って気晴らしをしました。同じ悩みを共有できて安心できました」
- 「先輩ママから『掃除とか洗濯とか料理とか手抜きしていいから、赤ちゃんを一番に考えて。肩肘はらずがんばり過ぎないように』という言葉をもらい、だいぶ気持ちが楽になりました」
- 「児童相談などを利用しました。話を聞いてもらうだけで、自分に対する嫌悪感やイライラする気持ちが収まりました」
- 「週末に夫に赤ちゃんを預けて、ひとりで外出しました。ひとりで散歩する、食材を買うなどわずかな時間でしたが、気が紛れてホッとできましたよ」
このように、1人きりで悩まずに、外出する・少しの時間だけひとりになる・ママ友やプロに相談して話を聞いてもらう、など気持ちを外に向けると気晴らしになります。そして「がんばり過ぎない」ことも大切です。
また赤ちゃん用のアイテムをうまく使って、泣き止まない赤ちゃんを落ち着かせるという方法もあります。例えばベビーラックやメリー、バウンサーなど。赤ちゃんが気に入るかわからない、という方はまずレンタルを利用してみてください。
身近に相談できる相手がいない場合は、ぜひ自治体の児童相談などを頼ってみましょう。ママの気持ちが晴れれば、赤ちゃんにも伝わりますよ。